Sonntag, 31. Dezember 2006

メタボリック女傑の遺物 Schloss Schönbrunn

年が明けました。本年も宜しくお願いいたします。
さて,私は晦日行事の追っかけではありませんから,仕込み中の風景になんて興味はありません(結局迷っていたカウントダウンは遅刻して観たものの,やはり爆竹には耐えられず,すぐにホテルに戻って来ました)。
ですから午後の過ごし方を模索するワケですが,今日…いや昨日はきれいに晴れたので,これは外回りをすべき日って事だな…と,応用美術館訪問をやめ,久し振りにマリアテレジアの夏の離宮,シェーンブルンに行く事にしました。庭の方。私にはバロックはトゥーマッチですから,宮殿の中はもういいです。1度行けば十分。









せっかくここまで来たのだからと,ヒーツィング墓地にも行きました。ここは私がヴィーンで,いや世界規模でも最も好んでいる墓地で,自分の灰はこことスコーグスシュルコゴーデン(ストックホルム)に分けて撒いてもらいたいと昔から考えていた場所です。骨は日本に埋めて。
ここにはシュタインホーフ教会のヴァーグナー,かの有名なクリムト,クーデンホーフ光子が埋葬されています。
どうしてこれだけここが好きなのかは判りません。多分"気"でしょう。



Sylvester findet Stadt

ヴィーンの晦日はハデです。
町中がお祭り気分。私は晦日に向かう12月末の雰囲気は大好きなんですが,当日の狂乱は願い下げ。初めて観た年こそ「オモシロいなーぁ」と感激した物ですが,翌年からは安全策を採るだけになり,しまいには観もしなくなってしまいました。
何がイヤかって,祭りを理由に悪ノリする奴,それでなくともキライなイタリア人観光客の大群(差別と思わないで。彼等を嫌うのにちゃんと理由はある),爆竹,大混雑。
24時に近づけば近づくほど人々のテンションは高まるので,私はそれを嫌ってとっとと部屋に戻ります。


頼まれてもいないのに勝手に訪問している以上,ここのしきたりに従う事が出来なければおとなしくするまでの事。でも今年はちょっとだけ見に行こうかな…と,今実は考えています(今はあまりの疲労でホテルで休んでいるところ)。
昼間でさえこの人出。普段はこんなにいません。オフィシャルイヴェントは14時から始まりますが,そのずっと前から人は町に繰り出すワケです。特に今日は日曜日,店が開いているワケでもないから本当に祭り目当てなんでしょう。
もう10時間,こうしている気か?アンタら…。




  

この三角屋根,日本で言えば屋台でしょうか。数日前から配置され始めます。それを観ると,「あぁ今年もだな」って思うんです。ここではグリューヴァインやスナック的な物が手に入ります。
三角屋根は旧市街でしか観ない…と思うんですが,もっと広範囲で頻繁に見かけるのはこのブタショップ。ブタはこちらでは幸運のシンボル。年末,いたるところで仮設ショップが出来ます。私は毎訪問時にブタ君を手に入れています。私は小指くらいの極小タイプが好きで,もう10コは持っているでしょうか。顔がカワイイ物が手に入る店とそうでない店があります。例年ショッテントーアに出店する人は顔のいいブタ君を揃えて来ます(ウソだと思ったら見てみろ!!)。

    

旧市街の各ポイントにこんなステージが出来,ギャアギャアと音楽を奏でています。ヴィーンらしくクラシックもあれば今日日なやつもある。またステージ毎に特色を出そうとしているようで,フライユングではラテンをフィーチャーしていました。実はお国の有名人なんだろうか,歌っている,奏でている以外の時間は独語で話していました。



私の愛する市庁舎前の広場もこんなように飾り立てられます。ここにもたくさんの店が出て,ステージがあって,その前で酔っ払いがワルツを踊ります。コンセプトは他の場所と同じなんでしょうが,ここは他に較べて力を入れられている印象です。スクリーンを出したり,ダンススペースを広く取ったり,こんな特別な感じの人達が生演奏をしていたり。金がかかってそうでした。

  
 


これを書いている現在,カウントダウンを見に行こうかと迷っていましたが,それよりもドナウ運河沿いの電飾ビルをもう1度見ておきたくなり,今激しく悩んでいます。出掛けるなら今のうち。でも面倒くさい…。

グーラシュ至上主義

食べ物について明確なこだわりを持たない私です。
私がグルマンなナリをした事は一度もありません。そのクセ,どうしてだか私を"フランス料理しか食わない奴"とお思いの方がいらっしゃる。これは不思議な事です。
私は東洋の食事が好きです。いちばんのソウルフードがウドンである事を考えれば,私は死ぬまで日本人でしかないのでしょう。


ヨーロッパも私が好んで行く場所では食事が合わずに嘆く事が兎に角多く,美食の旅なぞ私とは無縁の存在と諦めてしまっているのですが,ヴィーンに来たら嬉々として食べる料理があります。
それがこのグーラシュ(シチュー的な物)と,パラチンケン(クレープ的な物。内容物はガレットのそれに近い)。どちらもK.u.K.の頃に来たのでしょうか,由来はハンガリー。特にグーラシュは外すワケに行かず,冬なぞは「これを食さねば新年は来ない」と思うほど好きです。
毎訪問時,私はグーラシュ専門店に足を運びます。グーラシュとの衝撃の出会いは本国ブダペストにて。その場で魅せられてしまい,帰国後ハンガリー料理店を探して食べました。その後ブダペストには出向いておりませんが,ヴィーンでは絶対に食べると決めています。
グーラシュには色々種類があるのですが,私のようなマンネリストは1つのメニューを愛し続けるからかなかなか知識が増えません。でも,「これで来年まで食べられないのだからいちばん好きな物を」って思ってしまうのよね。そのせいで食べた事のあるほかのメニューを忘れてしまったくらい,こればかり食べ続けています。
私は評論家ではありませんから国分なみの語彙の貧困さで感動を表す以外にありません。バカ丸出しになってしまうので何も言いませんが,あぁシアワセだわ。

「パラチンケン」なんて言っておきながら,今期は食べに行かなかったので,次回訪ヴィーンまでお待ちください。どうもスイマセン…。

霧のシュタインホーフ(2) Kirche am Steinhof (Baumgartner Höhe) 2

続きです。
この建築物に見られる意匠の数々。スキがありません。大きいポイントだけでも十分衝撃的ですが,こう云う部分でも美学を貫いて?いるところが素晴らしい。
カーッ,美しい!!やっぱりヴァーグナーらしいですねェ。


   

  

  

  


ガイドによる説明は1時間くらいで終わりますが,その後居残って本気で写真を撮る人多数。
そんなデカいのジャマだろ…と言いたくなる様な三脚持参で。専門家なのかも知れませんが…。
私もしぶとく撮り続けました。やっと諦めて外に出た頃にはもう日は暮れていました。
照明された教会はまた美しい!霧がまた,それなりに効果的なんですわ。

 

 



これ,なんだろう?

霧のシュタインホーフ(1) Kirche am Steinhof (Baumgartner Höhe) 1

私はヴィーンのリピーターです。何回来たでしょうか,観光客が通るエリアはほぼ網羅していますし,初めての方を対象とするならガイドにもなれます。
私はヴィーンを,長い事ユーゲントシュティールの都として崇めて来ました。"音楽の都"は私にとっては後付けで,ここ数年で興味を持つに至ったに過ぎません。日本の団体観光客がラデツキー行進曲に拍手を送っている間,私は寒空の下で建築物を激写していたワケです。
ですからメジャー級のユーゲントシュティール物件は予約制の所以外は何度かの訪問で殆ど観尽くしました。
その中の最たる物がここで御紹介するシュタインホーフ教会。ヴィーン世紀末の雄,オットー・ヴァーグナーの傑作です。
この教会は郊外の精神病院敷地内に建っており,一般客には土曜日15時のみ開放しています。勿論,ここも既倒ですが,毎滞在日程が日で決まっている上に短い私にとって,土曜日にヴィーンに居られるのは珍しい事ですから,だいぶ久し振りだし,行ってみたくなりました。










町ナカではちよっとしか出ていなかった霧がここではモノスゴい。10メートル先が見えないほどでした。ただでさえ寒いのに,視覚的にも凍えます。
先の見えない道を過去の記憶を頼りに歩いて行くと,見えてきました,この偉容。これがシュタインホーフ教会です。
この迫力に,まずやられます。







 

 


続く。