Mittwoch, 29. Februar 2012

美しきドレスデン(1)

ドレスデンは華やかな町,の筈です。
私がいた間,めったに晴れる事はなく,毎日のように雨が降りました(あっちでは雨は降っても終日って事は珍しいので,こんな言い回ししか出来ません)。
煤のついた建物はこの曇天でさらに重苦しくなり,私の記録も気が滅入るような色調の物ばかりです。
しかし,私はここに載せる事にしました。いつか夏に再訪して,記録の差し替えが出来るといいなと思いながら。
先ずはこのへんから。ゼンパー歌劇場からツヴィンガー宮にかけて。ちょっと前に記したレジデンツシュロスからこのあたりまでの一帯が,ドレスデンの真打ちです。これらをエルベ川から眺めると,シルエットがとても美しい(私は横着してトラムから覗いただけでしたが)。ポストカードによく使われています。
美しいは美しいのですが,……重い!私には重過ぎる意匠の建物です。先日申し上げましたとおり,ツヴィンガー宮には美術博物館が入っています。


  

  

    

  


中段真ん中の外壁はちょっと離れた場所の建物の。ツヴィンガー宮を設計したペッペルマンの家です。私は前回の滞在中ピルニッツ宮殿を訪れた…筈(ちょっと自信ない…)ですが,それもこの人の作。もっと近場で云えばエルベ対岸にある日本宮殿も。観に行きませんでしたが。
フリードリヒ・アウグスト一世のお抱え建築家だったので,ザクセンには氏の作品が結構あるそうです。




あまりに色がないのでこれをここに載せて賑やかしを図ります。トラバント君,10年前も同じ場所で同じように売られていました。ちょっと嬉しくなってしまった。

Montag, 27. Februar 2012

赤かったドレスデン

ドレスデンは旧東独に属し,ソに支配された町です。それ故私は,ここでそれなりの名残りを観る事が出来るんじゃないかと考えていました。……が,日本語で出来る事前な調査ではひとつしか見つけられず(日本人はこう云うのに興味持たないのか?),ドレスデンの本屋さんでもそう云う資料を探せず,期待が外れて少々ガッカリしました。

尚,「赤いヴィーン」なる歴史用語(建築用語とも言えるか?)が存在するので,ドレスデン版はないのかと調べたものの,結局見つかりませんでした。ただ,ドイツ社会民主党ドレスデン支部?が赤いドレスデンを自称しています。






ロンリープラネットでは「見苦しいほど平べったい」とこき下ろされていた文化宮殿。この名前が既にソ臭を撒き散らしてます。ワルシャワの文化科学宮殿,リーガのラトヴィア科学アカデミー,まぁこっちは宮殿じゃなくてアカデミーですが(竣工当初の名称・使途,共に調査及ばず)。ここにもあったかドレスデン,ってな気分です。探せばもっともっとあるんでしょうなぁ。
まぁでもこの建物はスターリン様式ではありませんけどね。コンサート施設ですって。お決まりの扇情的なフリーズは健在。これ,大昔の宗教家が考案した,文盲に教義を教える為の壁画と同じ事でしょうか。



 


 

これよこれ!こう云うのを待ってたのよ。偶然の発見ではありましたが,絶対あると思ってました。中心地から外れた公園(軍事史博物館の前)にひっそり建っていました。こう云うの,統一前は町の中心部にあったんでしょうか。ブダペストのモニュメント墓場を思い出します。
独ソ戦関係の碑でしょうか。赤軍がどうのと書かれています(独語表記もついてるけど,これだけなら露語でも解った)が,それ以上の事は解りません。


…これしかないなんて事,絶対ないと思うんですよね。いい資料が欲しい!

Donnerstag, 23. Februar 2012

ドレスデンの美術博物館 Museen in Dresden

結局美術博物館に入る以外にドレスデンでは何もしないに等しかったと申し上げましたが,その訪問施設は以下の通りです。

ツヴィンガー宮の中にある
アルテマイスター絵画館
武器博物館
陶磁器コレクション
を見学してきました。これ等,歩き方の指南書の訳どおりに日本語で書きましたが,私が納得して使えているのは陶磁器コレクションだけです。武器博物館に至っては独語名だと「装備庫」が近く,装備に武器は勿論含まれるでしょうけど,ここに展示されている物としては防具の比重が大きいので,これまた気に入りません。アルテマイスターについては,ウマく日訳出来なかったところを現地語でごまかした結果でしょう。ミュンヒェンの両ピナコテーク同様,それなら絵画館なんて言わないでガレリー(ギャラリー)にすればいいのです。
…とモンクを言い尽くしたところで中身について薄ーく喋ります。この3つ,実はどれも本当は私のストライクゾーンから外れているんです。でも,やはり王道中の王道は,その後再訪はしなくても一度は観ておくべきかなと云う美術好きのはしくれとしての奇妙な使命感に基づいて,アルテマイスターを訪れる事にしました(他の2つは1枚のチケットで入れるからオマケみたいなもんでした)。
こう云う気持ちで各地の美術館に行き,その度に「やっぱり合わなかった」と思いながら出て来るんですが,ここでも全く同じ気持ちになりました…。
ここにはとんでもない数の見学者が殺到し,入場制限まで行われていました。皆さんきっとシスティーナのマドンナ(に収められているふたりの天使ちゃん)目当てにやって来るのでしょう。このように,外にまで列がはみ出る始末です。今の現地の気温を考えればいくらでもカノッサの屈辱が出来る温かさではありましたが,それなりの低気温と雨の中待つのはよっぽど好きな人なのか,翌日にはドレスデンを去る等後がない観光客か。私が訪れた時は列がはみ出る前ではありましたが,それでも15分待ち。それを嫌ってお向かいの装備庫に先に入りました(装備庫後でも運良くはみ出ないうちに入れました)。中世から近代まで?の騎士の,上述どおり武器防具のコレクションで,これはこれで見事です。好みは分かれると思いますけれど…。
陶磁器コレクションについては完全に流れで。私は陶磁器に格別の興味を持っておらず,「近くて時間もあるから行ってみた」くらいのもんでした。展示物は見事ではありますが,別に心奪われる事もなく…。
尚,ツヴィンガー宮内にはもうひとつ,数学と物理学のサロン(これまた歩き方の指南書では勝手に博物館と変換されてる)なる施設もありますが,閉まっていました。



アルベルティーヌム。この中には
ノイエマイスター絵画館
彫刻コレクション
が入っています。これまたノイエマイスター絵画館とは神経の行き届いていない日訳ですが,ここはロマン主義から現代までの芸術作品を扱っている,18世紀中盤以降と云う私の好みに合致した美術館です。ひとつ,大好きな様式だけで固められた部屋があり,大満足しました。数多くはなかったけれど,フォン・シュトゥック,リヒターに感激。
外見はとっても重厚ですが,この美術館内の現代芸術の展示スペースはとても明るく(リノヴェーションの結果らしい),一般的な暗い色調の展示室との対照が際立っていました。
彫刻コレクションにはもっと古い物も展示されています。私の解釈に間違いがなければ,こちらはいまだに2002年の洪水の被害から完全に立ち直れていないようでした。彫刻についても私の好きな時代は絵画と変わらず,最も好きなトーヴァルセンの作品が展示されていたのは嬉しかったなぁ。




そして,そのノイエマイスター絵画館による企画展「ドレスデンの新即物主」が隣接するクンストハレ・イム・リプシウスバウ(リプシウス館の文化ホール…こんな結果なら日訳しない方がいいのでこっち不採用)で催されていました。新即物主義との最初の邂逅は2001年初のハノーファー,その後は各地の現代美術館で数点見かける程度。新即物主義絵画が一堂に会すると,それなりに迫力があります。好きな時代の様式ではあるんですが,ユーゲントシュティールや象徴主義とは異なり,私の場合,どれも好き!ってワケには行きません。ここに展示されていた作品も,ガッチリ心を奪われたのは半分くらいか。
新即物主義は絵画のみならず,建築と文学の世界でも興りました。ドレスデンにはいくらかの新即物主義建築があります…あると知ってるなら観に行けよ,ってハナシですが…。



  

 

軍事史博物館。出来たばかりの新しい施設のようです。より細かい事を言えば,「連邦軍の」って冠がつきます(独語の性質上後ろに配置されてるけど)。軍事史の中でも現代物目当てで行って来ましたが,私のダメな点がここで炸裂。展示物は基本的に順番に観る私,ペース配分を考えずにしょっぱなから力を入れてしまったが為に,肝心の箇所でエネルギー切れ及び時間切れを起こしました。
バカです,本当にバカです。ただ,ドレスデンと云う立地から,私は空爆についての案内が充実しているのかなと思っていたのに,まるでそんな事はなく,どこかを贔屓する事はなく,潔いほど教科書的な展示に特化していました(時間切れこそ起こしたけれど…多分観落としてはいないと思う)。
空爆に関する案内は最上階にありますが,ドレスデンのみならず他の都市にも言及(ひとつだけ憶えているのがロッテルダム)しているから,本当に特別扱いがない。町の軍事史を知りたい人がここに行っても,なんの足しにもなりません。
そしてこの建物。…建物そのものと云うか,ボコッと出っ張った意匠。リベスキントですねー。中に入るとこれがカッコいい(時間切れを起こしたので退館時は真っ暗でした。しかしそれ故に観る事が出来た建物の夜の様子もまたステキでしょう?)。




最後に訪れたのはこの衛生博物館。「衛星」を書き誤ったのではありません。20世紀初頭にドレスデンの企業家によって設立されたこの博物館では,人間の生活,人間の生命活動(人体の構成と機能,誕生,生殖,疾病とリアル主要標本,人体の基になる食糧,等々),にまつわる色々が一部グロく展示されています。保健体育,理科,家庭科,社会科,道徳の教材になるからか,子供の校外実習地にされているようです。2002年の初滞在では「気にはなるけど,自分が行くとこじゃないな」くらいの事を考え,開いている美術博物館の方が少ない中にあっても,調査すらしませんでした。その後私はいくつかのタブーを乗り越えられるようになり(逆に,昔は受け容れていた物事への耐性を失う事態も頻繁に発生してるけど),今シーズンは張り切って出掛けましたが,焦点を合わさず,逃げるように立ち去った展示室も一部ありました…。

Donnerstag, 16. Februar 2012

Residenzschloss(なんと訳せばよいのやら)

先のメールで散々言い訳しましたとおり,私はドレスデンで消化不良を起こし,やり切った感をひとつも味わっていません。
そしてそれは記録データの数にも反映されていて,記録数を滞在日数で割ったらヴィーンを下回っている可能性さえあります。まぁ,同じところに長く滞在していれば当然か。でもほぼ初めてに等しい場所にしては異例の少なさでした。
曇天負けもしましたけれど…どうしちゃったんだアタクシ。

結局,満足に記録したのはここだけでした。Residenzschloss,王の居住地にして城。…王城,王宮,日本語に訳すに当たり,日本語で案内をしなきゃならない人達(物書きやガイド業)は苦慮しているようです。歩き方の指南書だと「ドレスデン城」とされていますが,この訳はどうなのかな…我々の感覚だと「城」だと要塞感も出てしまいますよね。独語での名称に「城」が入ってはいるけれど,だからってこの訳し方は安易じゃないかと思います。実際はただのお屋敷だから,実態としては王宮や宮殿の方が近い(天守閣を持つ城塞と云うよりは御所,みたいなもんだから)んでしょうけど。歩き方の指南書は影響力が大きく,結局最終的にはこれがスタンダードになってしまうのだから責任ある行動を…もっとよく考えて欲しいものです。独語を理解した上でつけた訳ならば,訳者は日本語を勉強すべきですね。

ドレスデンの場合修復物ばかりが町に並んでいるのは仕方ない事なんですが,この白壁の美しさが物語るように,このシュタールホーフ(嘗ての馬術競技場)もあからさまに修復されてます。でもその修復理由の一部は2007年のクリスマス市で発生したボヤ…とな?どうなってるんだ。ブルノでも思った事ですが,きれい過ぎると白けてしまうんですよね。
黄色いマイセンタイルの外壁は観光客が必ず観て帰る名物。ここだけは奇跡的に戦火(及びボヤ火)を免れたようです。


  


  



  




ヴィーンに続き,またやってみたけれど,私の身長ではこれが精いっぱいだった…もう10㎝欲しい!